JISとメーカー仕様は何が違う?機械設計で購入品の寸法・取付条件を確認する方法

JIS規格書、メーカーのカタログ、機械設計図面を並べたイラスト

機械設計の仕事では、図面を描く前にいろいろな資料を見ることがあります。

例えば、JIS(ジス)という規格、メーカーのカタログ、製品の仕様書、外形図などです。

どれも設計に関係する資料ですが、書かれている内容や使い道は少しずつ違います。

この記事では、ボルトや取付板などの身近な機械部品を例に、それぞれの資料がどんなときに役立つのかを紹介します。

目次

そもそもJISって何?

JISは「日本産業規格」のことです。簡単にいうと、ものづくりなどで使われる共通のルールです。

例えば、同じ種類の部品でも、メーカーによって寸法や形がすべて違っていたらどうでしょうか。部品を交換したいときや、別のメーカーの製品を使いたいときに困るかもしれません。

そこで、寸法や品質、測り方などについて、共通の決まりを設けることがあります。その一つがJISです。

ただし、すべての部品が同じJISで作られているわけではありません。また、JISに書かれている内容は、部品や規格の種類によって異なります。

メーカーのカタログや仕様書には何が書いてある?

メーカーのカタログには、販売している製品の種類や大きさ、使い方などが紹介されています。

例えば、機械に取り付ける部品なら、次のような情報が見つかることがあります。

  • 製品の名前や型式(製品を区別する番号)
  • 部品の大きさ
  • 取付穴の位置や大きさ
  • 使える荷重(どのくらいの力に対応するか)
  • 使用できる環境や注意点

製品によっては、詳しい寸法を外形図に、使い方を取扱説明書に分けて掲載している場合もあります。

カタログだけでは分からないことがあれば、別の資料を調べたり、メーカーへ問い合わせたりすることも考えられます。

JISとメーカー資料は、どちらか一つを選ぶもの?

JISとメーカー資料は、役割が違うため、単純にどちらがよいとはいえません。

例えば、JISに関係する六角ボルトでも、実際に購入する製品の強度区分や表面処理、販売されている長さなどを確認したい場面があります。

一方、メーカーが販売している機械部品にも、JISなどの規格が関係している場合があります。

つまり「購入品だからメーカー資料だけ」「製作部品だからJISだけ」という分け方では、必要な情報がそろわないこともあります。

何を知りたいのかによって、見る資料が変わってくるわけです。

例えば、部品を取付板に固定するとき

機械に使う部品を、金属の取付板にボルトで固定する場面を考えてみます。

部品のカタログに取付穴の位置が書かれていれば、その情報をもとに取付板の穴位置を考えられます。

ただし、穴の位置が合っているだけで、取付方法の確認が終わるとは限りません。

  • ボルトを通す穴の大きさはどうするか
  • 取付板の厚さはどのくらい必要か
  • 部品を固定するためのスペースはあるか
  • 工具が入るか
  • 組み立てたあとに部品を交換できるか

こうした点も、機械の使い方や部品の種類によって考えることがあります。

なお、必要な板厚やボルトの大きさは、この例だけでは決められません。部品にかかる力や取付方法などによっても変わります。

CADの図面だけで分かること、分からないこと

CADは、パソコンで図面を描くためのソフトです。

メーカーが公開しているCADデータを使うと、部品の形や配置を確認しやすくなります。

しかし、CADデータには、製品の使い方や取付時の注意点まで、すべて書かれているとは限りません。

そのため、CAD上で部品が収まっていても、実際の取付方法や使用条件について、別の資料を確認する場面があります。

図面を製作に回す前の確認については、機械設計の検図についての記事でも紹介しています。

資料の寸法が合わなかったら?

設計を進めていると、想定していた寸法と、実際の製品資料に書かれている寸法が違うことも考えられます。

例えば、取付穴の位置が合わない場合です。

そんなときは、型式や資料の版が違っていないか、まず確認する方法があります。

それでも合わない場合には、取付板の形を見直す、別の製品を検討する、メーカーに相談するなど、いくつかの選択肢が考えられます。

どの方法が適しているかは、機械の用途、強度、安全性、費用、納期、変更できる範囲などによっても異なります。実際の案件では、関係者との確認や承認が必要になる場合もあります。

一つの対応方法だけが、すべての機械に当てはまるわけではありません。

寸法には、少しの違いを認める場合もある

機械の部品は、図面に書かれた寸法と、実際に作られた寸法が完全に同じになるとは限りません。

そこで、どのくらいの寸法の違いまで認めるかを「公差(こうさ)」で表すことがあります。

例えば、部品を差し込む穴と軸では、少しの寸法の違いが組立や動きに影響することもあります。

公差について詳しく知りたい方は、機械設計の公差についての記事も参考にしてみてください。

まとめ|資料を知ると、図面の見方も変わる

機械設計では、JIS、メーカーのカタログ、仕様書、外形図、CADデータなど、いろいろな資料が使われています。

JISは共通の決まりを知るための資料、メーカー資料は実際の製品について知るための資料として役立ちます。ただし、内容が重なることもあり、必要な確認は部品や設計条件によって異なります。

図面を描くとき、「この寸法はどの資料から分かるのだろう」「取付方法について、ほかに確認できる資料はあるだろうか」と考えてみるのも一つの方法です。

設計の進め方は一つではありません。この記事が、資料の使い方や確認方法を考えるきっかけになれば幸いです。

参考にした資料

記事の内容を調べる際に参考にした、日本語の公開資料です。

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