生産設備で機械設計と電気・制御は何を打ち合わせる?動作・機器・タイミングの確認

生産設備の機械設計と電気・制御の打合せをイメージした作業風景

生産設備では、機械設計だけで設備の動きが決まるわけではありません。モータやシリンダなどの機器をどのように動かすか、どの状態をセンサーで確認するか、どの条件で次の動作へ進むかなど、機械と電気・制御がつながる部分が多くあります。

これまでの設備設計でも、構想図やそれまでの打合せ内容をもとに機械の動きを伝え、使用する機器やセンサー、安全やインターロック、試運転時の調整などを電気・制御担当者と確認しながら進めてきました。

ここでは電気設計や制御プログラムそのものを細かく説明するのではなく、機械設計の立場から、どのような内容を電気・制御担当者と共有し、どこをすり合わせてきたかを中心にします。

担当範囲や進め方は、会社、設備、業界、客先仕様、装置の規模、工程などによって変わります。以下もすべての設備に共通する決め方ではなく、実務で行ってきた確認や調整の一例です。

目次

機械設計と電気・制御は担当が分かれていても設備の中ではつながっている

機械設計では、機構、構造、配置、使用する部品や機器などを考えます。一方で、その機械を実際に動かすには、センサーや電気機器、配線、制御など電気・制御側とのすり合わせが必要になります。

例えば、機械側でシリンダのストロークや停止位置を変更すると、センサー位置や動作条件へ影響することがあります。反対に、電気・制御側から必要な条件を聞いて、機械の配置や使用する機器を見直すこともあります。

機械設計の中でも構想、詳細設計、部品図、検図などが分かれることがありますし、電気・制御側の担当範囲も会社や案件によって異なります。大切なのは呼び方をそろえることより、今回の設備で誰が何を担当し、どこを一緒に確認するのかを合わせることです。

機械設計から設備完成までの全体的な流れは、「機械設計とは?図面だけではない仕事と設備ができるまで」でも扱っています。

最初の打合せでは、その時点までに決まっている内容を共有する

最初の打合せでは、構想図を見ながら説明することもあれば、それまでの客先との打合せや検討内容をもとに話を進めることもあります。

設備の動きがまだ完全に決まっていない段階でも、現時点で分かっている内容を共有し、電気・制御側から見て確認が必要なことを出していきます。

  • どの部分がどのように動くのか
  • どの機器を使う予定なのか
  • どの位置や状態を確認したいのか
  • 何を確認してから次の動作へ進むのか
  • 自動運転、手動運転、原点復帰などで必要な動作
  • 客先仕様や、まだ決まっていない条件

毎回この項目を同じ順番で確認するわけではありません。その時点までに決まっている内容や担当範囲によって、打合せの内容や必要な資料も変わります。

センサーは機械側で検討することが多い

生産設備では、センサーの検出対象や取付位置は機械の構造や動きと関係が深いため、機械設計側で考えることが多くあります。これまでの設備設計でも、基本は機械側で検討してきました。

ただし、機械側だけで決めるわけではありません。電気・制御担当者と考え方をすり合わせて決める場合もあれば、客先仕様や使用条件を確認して決める場合もあります。

機械的には取り付けやすい位置でも、配線や交換がしにくい、必要な検出条件に合わないといったことがあります。反対に、必要な検出位置があっても、機械構造や周囲の部品との関係でそのまま取り付けられないこともあります。

型式や取付位置だけでなく、何を確認するためのセンサーなのかを共有しておくと、機械側と電気・制御側で条件を合わせやすくなります。

安全やインターロックは客先仕様と設備条件を見ながら詰めていく

安全やインターロックについて客先仕様が決められている場合は、その内容を確認して設計へ反映します。仕様にない部分や、設備を具体化する中で追加の確認が必要になった部分は、電気・制御担当者や関係者と打合せしながら詰めていきます。

インターロックは、ある条件が成立していないと次の動作を許可しないようにするなど、設備の動作条件を組み合わせる場面で使われます。例えば、機械が所定位置まで戻ってから次の動作へ進む、必要な状態を確認できなければ動作させない、といった考え方があります。

ただし、インターロックを一つ追加すれば安全になるというものではありません。機械の構造、安全防護、作業方法、保全、使用環境なども含めて確認する必要があります。

厚生労働省の「機械の包括的な安全基準」でも、機械の使用条件を確認し、危険源を特定し、リスクを見積もったうえで必要な保護方策を検討する流れが示されています。

設計途中で条件が変われば、関係するところをもう一度確認する

最初に打合せをしても、その後の設計で機械の構造や使用する機器が変わることがあります。

センサー位置を変える、シリンダを別の形式へ変更する、モータや減速機を見直す、動作順序を変えるといった変更があれば、電気・制御側へ影響する内容も確認します。

反対に、電気・制御担当者から「この動き方にしてほしい」「この状態を確認できるようにしたい」といった意見をもらい、機械側へ反映することもあります。

最初の打合せだけで終わりではなく、設計や製作が進む中で変更が出たときに、関係する担当者へ戻して確認することがあります。

試運転では、実際に動かして初めて分かることもある

図面や事前の打合せだけで、設備の細かな動きやタイミングまで決めきれないことがあります。

試運転では、機械側の動作を微調整することもあれば、電気・制御側で通信や信号のタイミング、速度などを調整することもあります。

実際に設備を動かしてみて、初めて気づくこともあります。機械側では干渉、動作の安定、位置、速度などを確認し、必要に応じて機械側と電気・制御側の両方を見直します。

前後設備とのやり取りや、客先側の条件が関係する場合もあります。何を調整するか、どこまで調整するかは設備によって違います。

作業内容によって必要な資格や教育も確認する

設備に関わる作業には、内容によって資格、技能講習、特別教育などが必要になるものがあります。実際に施工や作業を行う場合は、担当範囲だけでなく、その作業に必要な資格や教育、客先や社内のルールも確認します。

機械設計と電気・制御の打合せで作業内容まで関係してくる場合も、誰が担当するのかを確認し、必要に応じて専門の担当者と進めます。

機械設計と電気・制御だけで設備が完結するわけではない

この記事では機械設計と電気・制御の関係を中心にしていますが、生産設備にはほかにも多くの人が関わります。

配管、製作、加工、組立、据付、前後設備のメーカー、客先の生産・保全担当者など、設備によって関係する人や会社は変わります。営業やシステム担当などが条件整理や情報の受け渡しに関わることもあります。

機械側から見るとよい方法でも、配線しにくい、配管できない、加工しにくい、据付できない、保全しにくいといった問題が出ることがあります。反対に、別の立場からの要望をそのまま機械へ反映すると、機構やスペースに無理が出ることもあります。

どちらかが正しいと決めるのではなく、それぞれの役割や条件を確認しながら、設備としてどう成立させるかを考えていきます。

担当間の確認不足から起こりやすい内容については、「機械設計で起こりやすい失敗と防止策|実務で確認したい7項目」でも扱っています。

まとめ

生産設備では、機械設計と電気・制御の担当が分かれていても、一つの設備として動かすために互いの内容を確認する必要があります。

最初の打合せでは、その時点までに決まっている構想や条件を共有し、設計が進んで内容が変われば、関係するところをもう一度確認します。センサー、安全、インターロック、動作、タイミングなども、客先仕様や担当範囲に合わせて詰めていきます。

試運転では、実際に動かして初めて分かることもあります。機械、電気・制御、製作、据付、保全など、それぞれの立場で見えることを持ち寄りながら調整していくことも、設備を立ち上げる仕事の一部です。

参考資料

この記事を共有する
  • URLをコピーしました!
目次